溶融亜鉛めっき加工工程についてふれてみたいと思います

 溶融亜鉛めっきは、高温で溶かした亜鉛に鋼材を浸し、表面に亜鉛皮膜を形成する技術です。

亜鉛めっき加工を施した鋼材は、錆びや腐食を発生しません。塗装や電気めっきなどとは異なり、亜鉛と鉄から形成される「合金層」により、亜鉛と鉄が強く金属結合しているため、長い年月を経てもめっきは剥がれることがありません。

 溶融亜鉛めっきの防食機能には、「保護皮膜作用」と「犠牲防食作用」という2つの大きな特徴があります。

 

溶融亜鉛めっきの加工工程は、以下の手順で行われます。

 

1 脱脂

めっき素材を、加温した苛性ソーダ水溶液に漬けて、表面に付いている油脂類などの汚れを完全に除去します。

 

2 水洗

素材表面に付着している脱脂液を洗い流します。

 

3 酸洗

めっき素材を塩酸または硫酸水溶液に漬けて、表面のさび、スケールなどの酸化物を除去し、鉄素地を露出させます。脱脂後の鋼材を塩酸に入れ、素材表面のミルスケール(酸化被膜)を落とし、被膜が残っている箇所では亜鉛との合金反応が起こらず不メッキとなるため、完全に除去できるまで塩酸に漬け鉄の素地を露出させます。

 

4 フラックス処理

酸洗後のさびの発生を抑え、鉄と亜鉛の合金反応を促進させるため、加熱した塩化亜鉛アンモニウム水溶液(フラックス)に漬けて、素地表面にフラックス皮膜を形成させます。フラックスに浸漬することにより、鉄と亜鉛の合金反応を促進します。

 

5 乾燥

亜の飛散(スプラッシュ)を抑えるために乾燥させます。

 

6 めっき

めっき素材を、溶融した亜鉛浴の中に漬けてめっき皮膜を形成させます。

めっき素材の材質や形状寸法などに応じて最適のめっき条件を選択します。

鋼材の表面に鉄と亜鉛の合金層が形成され、強い防錆力を発揮します。

 

7 冷却

めっきされた製品を温水で冷却します。この冷却によって、鉄と亜鉛の合金層の成長を抑えます。

 

8 白錆防止槽

最後に白錆防止槽に鋼材を入れることにより、表面に被膜を形成することで、一時的に白錆が発生しにくくします。

 

9 仕上げ

鋼材の外観をチェックし、不メッキ・鋭利なタレ・ざらつきなどを工具により仕上げ、必要な個所に補修を行います。

 

 以上の工程になります。